お盆は日本における重要な仏教行事のひとつであり、亡き人の魂がこの世に帰ってくるとされる特別な時期です。その中でも「初盆(はつぼん)」は、故人が亡くなって初めて迎えるお盆を意味し、特に丁重に供養を行うのが一般的です。
この初盆を迎えるにあたり、故人の霊を迎えるための提灯(ちょうちん)は、欠かせない供養具のひとつです。では、初盆にはいくつの提灯が必要なのでしょうか? 本コラムでは、提灯の役割や種類を解説しながら、「数」にまつわる考え方や習慣について詳しくご紹介します。
初盆における提灯の意味

提灯は、亡き人の霊が迷わず帰ってこられるように、道しるべとして灯す「迎え火」「送り火」の役割を果たします。また、灯火そのものが故人への祈りの象徴とされ、供養の心を形に表すものでもあります。
初盆は特に手厚く供養をするため、通常のお盆よりも多くの提灯を用意する傾向があります。提灯の灯りは、故人への感謝や祈りの気持ちを表す重要な存在なのです。
提灯の種類とその役割
初盆に使われる提灯にはいくつか種類があります。数を考える前に、それぞれの提灯の特徴を知っておくことが大切です。
白提灯(初盆専用)

白提灯は初盆の際だけに使われる特別な提灯です。一般的に無地の白ちりめんでできており、「魂を迎える純粋な灯り」という意味合いがあります。通常は玄関や門口など、外から見える場所に吊るすことが多いです。
※1軒につき1対(2個)用意するのが一般的ですが、1個だけでも失礼にはあたりません。

絵柄入りの盆提灯(2回目以降も使用可)

初盆以降は、華やかな絵柄や家紋の入った盆提灯を仏壇の近くや部屋の中に飾ります。これらは親族や知人から贈られることも多く、1対単位(左右セット)で届く場合が多いです。

迎え火・送り火用の小型提灯

故人の霊を迎えるための「迎え火」や、送り出す「送り火」として、玄関前や仏壇前に灯す小さな提灯もあります。

提灯の数は決まりがあるのか?

実は、初盆に用意する提灯の数に明確な決まりはありません。ただし、地域の風習や宗派、家の考え方によってある程度の「目安」は存在します。
一般的な提灯の数(例)
- 白提灯:1個または1対(玄関用)
- 絵柄入り提灯:1~2対(仏壇の左右に置く)
- 小型の吊り提灯や置き型:数個(補助的に使用)
つまり、3〜6個程度が平均的な提灯の数といえるでしょう。ただし、大きな仏間を持つ家では10個以上飾ることもありますし、逆にマンションや狭い住宅ではコンパクトに2~3個に抑えることもあります。
贈られる提灯の扱いについて

初盆を迎える家庭には、親族やご近所から「盆提灯」を贈られることがあります。これは、故人に対する供養の気持ちを表すものです。
そのため、贈られた提灯はできるだけ飾るのが望ましいですが、スペースや安全性の都合で飾りきれない場合は、お盆の期間中に一部を飾り、残りは箱のまま仏間に置いておいても失礼にはなりません。
贈答用の提灯は華やかでデザイン性も高く、贈る側・贈られる側双方の心が込められた大切な品です。無理のない範囲で感謝の気持ちを持って扱いましょう。
初盆提灯の選び方と飾り方のポイント
以下の点を意識すると、無理なく適切な数と種類の提灯を選ぶことができます。
仏壇や部屋の広さに合わせる

仏壇が小さい場合はコンパクトな提灯、部屋が広い場合は複数個をバランスよく配置すると良いでしょう。
電池式・LEDの使用も検討

昔ながらのろうそく式の提灯も趣がありますが、安全性や使い勝手を考えると、最近では電池式やLEDタイプのものが人気です。火災の心配がなく、長時間灯すことができる点もメリットです。
飾る期間と撤収のタイミング
一般的にお盆は8月13日~16日(地域によっては7月)ですが、初盆の提灯は12日頃から設置し、16日夜の「送り火」の後に片付けます。白提灯はそのままお焚き上げするか、地域のルールに従って処分します。
当店では、盆提灯などのご供養処分を承っております。
ご供養品のサイズによって価格が決まっておりますので、お手持ちの盆提灯に合ったサイズをお選びいただき、全国どちらからでも郵送にてお引き取りさせていただきます。
まとめ
提灯の数に正解はありません。大切なのは、故人を迎え、心を込めて供養することです。家族の状況や空間に合わせて無理のない形で準備することが一番です。1つの灯りにも、深い想いが込められていれば十分に意味のある供養になります。
初盆は、故人がこの世に戻ってくる「最初の帰省」ともいえる特別な時です。ご家族や親族とともに、穏やかな心で灯りを囲み、静かに思い出を語る時間を大切にしましょう。