お供え物のマナー|仏壇に供えるべきものと避けるべきもの

仏具・仏事の豆知識

毎日お仏壇に手を合わせてお参りする。以外にもお線香やご飯などを『お供え』されるかと思います。

実はお供え物にもそれぞれ意味があり、また一定のマナーや作法があります。この記事では、仏壇に供えるべきものと、避けたほうがよいものについて、分かりやすくご紹介します。


仏壇に供えるべきもの

仏壇のお供え物は「五供(ごく)」と呼ばれる基本があり、それぞれ意味があります。

では、【五供(ごく)】とは何か・・・仏教において仏前や仏壇に供える5つの供物(くもつ)を指す言葉です。仏さまに対する供養の基本として、以下の5つをお供えするのが伝統的な形式です。

1. 香(こう)

線香や香炉で焚くお香(抹香)のことです。故人様や仏様への祈りを届けるものとして、または香りを召し上がる為、供養になるといわれています。

他にも、香りで場を清める意味もあり、それによりお供えをした人や周囲の人の心身も清められるとされています。部屋全体に行き渡る香りが、全てのものに等しく接する仏様の慈悲の心を表しているともいわれているそうです。

2. 花(はな)

生花が基本ですが、生花・造花どちらでも差し支えありません。昨今の気候変動により特に夏場は生花の瑞々しさを保つ事が難しく、日持ちしない場合が多くなっている為、造花をお供えされる方が多くなって参りました。

生花」のおすすめの点・・・

・瑞々しさで清らかな印象を与える

・季節感があり、自然の命を感じられる

・香りや色合いが心を和ませてくれる

・故人やご先祖様に新鮮なお花をお供えすることで、感謝の気持ちを表せる

ただし枯れてしまったり、水が濁って異臭や虫が発生してしまうため、こまめな取り替えが必要となります。また、花粉や香りによるアレルギーや季節によって値段がピンキリのため、定期的な購入が困難であるなどのデメリットがございます。

造花(アートフラワー・プリザーブドフラワーなど)」のおすすめの点・・・

・枯れずに美しさが長持ちし、日常のお供えに適している

・水替えや花びらの散りなどのお手入れが不要で散らかる心配がない

・花粉や香りがないため、アレルギーの心配がない

・最近では本物に近い高品質なものも多く、お仏壇まわりを常に明るく華やかに保てる

ただし本物のように瑞々しさや香りがなく、更に安価な造花は質感が人工的に見えてしまい、「命ある花を供える」宗派や地域の慣習にそぐわない場合があり、季節感を感じられないなどのデメリットがございます。

つまり、特別な日には生花、日常のお供えには造花を併用するのがおすすめです。
宗派や地域の習慣で生花を重んじる場合もあるため、ご住職に確認いただくとさらに安心です。

また、季節の花や故人が好きだった花を飾るのもよいですが、棘のある花(例:バラ)や毒を持つ花は避けましょう。

なお、花瓶は左右対称に置くのが一般的ですが、こちらも宗派や地域の習慣などによって変わりますので、ご住職に確認いただくと確実かつ安心ですね。

なお、当店でも仏花(造花)をいくつかご用意いたしております。

ご家庭のお仏壇を優しく彩っていただいてはいかがでしょう!?

3. 灯燭(とうしょく)

ロウソクや電気ローソクなどの灯り全般の事を指します。他に『灯明(とうみょう)』も聞きますが、こちらは主に「ロウソク」や「油皿に油を注ぎ芯に火を灯すもの」をいいます。

灯明は当店にもご用意のある商品です。下の写真の様に見た目は茹でる前のパスタの様に見えますね!

★灯明セット(商品番号:10012333)

仏壇や神棚に供える「灯火(ともしび)」である【灯明】は、仏の『智慧の光(世の中を照らす明かりや迷いを取り除く明かりとしての役割)』があり、火をつけることで亡くなった方の心を照らし、供養につながるとされます。

まさに「心を照らし、安らげる明かり」ですが、同時に注意も必要です。

ろうそくや灯明は長く灯しておくと火災につながる恐れがあります。仏飯をお供えしたり線香をあげたりといった一連の流れが終わった後は、火は消しておきましょう。その際、手であおぐように風を起こして火を消します。穢れともいわれる息を吹きかけて消すことはしないよう注意しましょう。

かつては油を使っていましたが、現在は電球などが用いられる場合もございます。

ご供養も大切ですが、安全第一にお参りくださいますようお願い申し上げます。

4. 浄水(じょうすい)

浄水とは、その名のとおり「清らかな水」を意味します。水は濁りがなく清らかであること、そして誰にでも平等に潤いを与えることから、清浄さと慈悲・平等の象徴とされています。

ですので、毎日の浄水は単なる習慣ではなく、心を清める供養の一つといえるでしょう。

毎日新しいお水に取り替えるのが基本ですが、タイミングとしては「当日の朝」のお参りにされる方が多いかと思いますが、夜のうちに下げて「翌朝」に替えても問題ございません。気を付けなければいけない事としては、夏場などは水といえど傷みやすい為、可能であれば小まめに交換する事をおすすめいたします。

お水を入れる器は仏具の「湯呑」や「仏飯器」に入れるのが一般的で、量としては、器からこぼれない程度の少量で十分です。満杯にする必要はありません。

準備できましたら、仏飯やお菓子などと並べて、ご本尊様の一段下、正面に置きます。

お水に関しても、宗派や地域によってはお茶や白湯などを供える習慣があります。過度に気にする必要はございませんが、気になられる・不安だ、とお思いの方はご住職に確認いただくと確実かつ安心してお参りしていただけます。

5. 飲食(おんじき)

飲食とは、お供えする食べ物を指します。古くから「神は人と同じように食事を召し上がる」と考えられ、誠意をもって食物を供えることが、感謝や祈りを表す重要な行為とされました。

宗派や地域によって多少の違いはありますが、ご飯、お菓子、果物などが一般的です。代表的なものですと・・・

ご飯(仏飯)
白米を小さなお茶碗(仏飯器)に盛り、仏前に供えます。一膳盛りを「おんじき」と呼ぶこともあるそうです。

お茶や水
先程の「浄水」ですね。清浄を表すため、毎朝新しく入れ替えるのが基本です。

果物・菓子
季節の果物や好物を供えることもあります。

精進料理
命日や法要のときは、肉や魚を避けた「お斎(おとき)」を供える場合もあるそいうです。

注意点として、食べ物は常温保存できるもの、日持ちするものが望ましく、こまめに取り替えます。

取り替えした(下げた)飲食は「おさがり」といい、家族でいただくのがよいとされています。「仏さまと同じものをいただく」ことでご加護を願い、感謝を分かち合う意味があります。

以上のこれらのお供えはすべて「仏さまへの感謝と敬意を表す供養」としての意味があります。家庭の仏壇でも、お盆や命日などの節目にはこの五供を整えることが一般的です。


避けるべきお供え物

仏壇にはふさわしくないとされるものもあります。これは「清浄」「感謝」「慎み」という考え方に基づいており、その考えに反するものは避けるべきということでもあります。

なお、宗派や地域により異なる場合もありますが、一般的に以下のようなものは避けましょう。

生臭もの(肉・魚など)

仏教では「殺生を避ける」という教えがあるため、動物性のものは供えません。

特に生ものは傷みやすく不浄とされるため、宗派によっては厳しく避ける傾向があります。

においの強いもの・腐りやすいもの

ニンニクやネギなどの匂いの強い食品は、強い臭気が修行や供養の妨げになるとされ、仏前では忌避されます。

生肉や生魚、卵、ケーキ、アイスクリームなどの、生ものや要冷蔵品などは長時間置くことで不浄とされるため、避けた方がよいでしょう。

たばこ・アルコール類

お酒などのアルコール類に関しては宗派によっては供えることもありますが、一般的には避けるのが無難です。供える場合はごく少量、瓶ごとでなく器に移して供えるのがマナーです。

たばこに関しても、常時のお供えにはふさわしくありません。臭いが強く、また火災の火元になるなど、ございます。

ですが、故人様の好物であれば命日や特別な日の「一時的なお供え」としては許容されます。

作法に反するもの

キャラクターグッズや派手すぎる装飾品など、仏壇の厳かな雰囲気を損なうようなものはなるべく避けましょう。


まとめ

供えるべきもの避けるべきもの
線香・抹香肉・魚などの生臭物
生花匂いの強い食品
ロウソク要冷蔵・腐りやすい食品
新しいお水アルコール類(宗派による)
ご飯・果物・お菓子派手な装飾・キャラクターもの

≪避けるべきもの≫の例外として供える場合

故人様が好きだったお菓子や嗜好品(コーヒー・ビール・たばこなど)は、命日や法要の日に「感謝を込めて一時的に」お供えするのは一般的です。この場合、長く置かずに早めに下げて「おさがり」としていただくのが良いでしょう。

キャラクターものなど装飾に関しても、故人様の趣向で派手過ぎないものを少数かつ、仏壇の雰囲気を損なわれなければ、問題ないでしょう。

仏壇へのお供えは、心を込めることが最も大切です。形式にとらわれすぎず、故人様を思いやる気持ちを大切にしながら、正しいマナーを守って供養しましょう。

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